• 2010-03-14 07:46:35
  • スローファッション再考
今、もっとも勢いに乗っているファッションの新しい業態、ファストファッション。
その魅力は最新の流行を取り入れたデザイン性の高さと手ごろな価格です。
昨年は流行語大賞に選ばれ、現在も全国各地に規模を拡大していますが、
その傍らで街に古くからあった老舗の百貨店や商店は売り上げが落ち込み、次々と閉店に追いやられています。
ファストファッションの台頭はファッションのあり方を変えています。
でもそれ以上に、そして私たちの価値観の形を大きく変えつつあります。

* * * * * *

ファストファッションは、欲しいときにすぐに買えるのが特徴です。
店内に入り、大量の商品の中から値段とフィーリングで服を選び、レジに持っていって支払いを済ませれば簡単に手に入ります。

その対極にあるもの、言ってみれば「スローファッション」でしょうか?
たとえば、オーダーメイドの服はそのひとつです。
どんなものが欲しいのか職人に思いを伝え、
素材や形などを時間をかけて吟味し、感性を働かせ、感性形を予想する必要があります。
体の寸法を測ってから、あとは出来上がりを辛抱強く待たなければいけません。
多くの場合は数週間、遅い場合は何年もかかることさえあります。

商品は決して安価ではありませんが、何のための値段なのかを考えてみると、必ずしもそれが高価ではないということがわかります。
これらには物としての価値はもちろん、
お客の思いを形にする職人の創造力や技術、
それにかかる手間や時間、
そして私たちが思いを馳せる時間すら、含まれています。
また多くの人の力によって1着の服が出来上がることを知るでしょう。
子どもの成長のように世話がかかり、育つのに時間がかかります。
でも、その分、世界にたったひとつの服に対して愛おしい気持ちも大きくなるのではないでしょうか。
こうしてできた服は、お金に代えられない価値をたくさん持つことになります。

さて、一方ファストファッションはどうでしょう。
ファストファッションで短縮されたのは、商品を受け取るまでの時間だけではありません。
おそらく、着なくなるまでの時間も早いのではないでしょうか。
新鮮さを失うと時代遅れというレッテルが貼られ、1年後には着られなくなってしまうことも少なくありません。
物について考える時間はどうでしょうか。
ファストファッションを選ぶとき、多くの人は大抵「フィーリング」にまかせるようです。
感性が身体の感覚と脳のはたらきで行われる知的な行為に対して、フィーリングはある意味、本能的で刹那的な行為です。
半自動的に物が手に入るという豊かさのために、わざわざ考えたりや感性を駆使したりする必要がないからでしょう。
しかし、物の豊かさと引き換えに、私たちは考えたり想像力を楽しむ時間を失ってしまったのではないでしょうか。
ファッションに限らず、様々なもののファスト化は、本能的で刹那的な方向へと向かっているのだとすれば、私たちの本来の生体リズムにとっては少し早すぎるのかもしれません。

* * * * * *

時とともに育っていくスローファッションと、消費期限のあるファストファッション。
時間とお財布には限りがあるもの。
だからこそ、スローファッション再考。
今と今をつなぎ合わせて大事に過ごしていくことが私たちには必要なのではないでしょうか。

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