• 2010-02-07 22:13:29
  • 感覚を遊ぶ -なつかしさを嗅ぐ 編-
乗り物に乗っているとき、お店の前を通ったとき、何気ない日常の一コマの中で、昔嗅いだことのある香りに再び出会うことがあります。
香りを嗅いだ瞬間、当時の記憶を一瞬にして思い出すことはないでしょうか?

* * * * * *

この香りと記憶のつながりをプルースト現象と言います。
フランスの作家、マルセル・プルーストの作品の中で主人公がマドレーヌを紅茶に浸し、その香りからまざまざと幼年時代を思い出す描写があります。これがモチーフになって、プルースト現象と名づけられました。

香りは目に見えないので普段は意識しないことが多いのかもしれませんが、その感度は私たちが思っているよりもずっとずっと敏感なのです。
私たちが香りを受け取るセンサーは、実は1000種類もあります。
目が光の情報を受け取るセンサーは、赤、青、緑と明暗の4種類。
味は甘い、辛い、すっぱい、苦い、旨いの約5種類。
皮膚の触覚も5種類くらい。
それらを比べると、香りのセンサーはびっくりするくらい多いのです。

そもそも、香りを「嗅ぐ」という感覚は、五感の中でも特殊な能力です。
見る、聞く、味わう、触るという感覚は、
脳の視床という部分を通って大脳皮質に向かうのですが、
嗅覚だけは他のどこも経由せず、大脳に直結しているのです。
大脳には情動に関係している脳の部分。
思い出のある香水を嗅ぐと、大脳も活性化するのに対し、
初めて嗅ぐ香水では活性化しないという脳神経学からの報告もあります。

脳のメカニズムはまだまだ謎が多いのですが、
こんなふうに香りが私たちの記憶や感情と深い関係にあることはとても興味深いと思いませんか?
香りによって当時にタイムスリップしてしまうとき、
なんとも言えない当時のままの感情や「なつかしさ」が胸に込み上げてくることも少なくないはず。
視覚や触覚など香り以外の刺激は10代の記憶を思い出させることが多く、
嗅覚の場合は、それ以前の幼いころの記憶まで思い出すことが珍しくないそうです。

香りは、遠い記憶を緩やかに呼び起こす鍵の役目を持っているのですね。

現在、化粧品や家庭用洗剤など、香りを扱うメーカーはこうした私たちの感情と香りについて研究を進めています。
「なつかしさ」や「憧れ」のような感情は、人によって様々ではありますが、
たとえば、レトロな街並みが初めて見る人にもなつかしさを運んでくれるように、初めて嗅ぐ香りにも、誰もが共通して感じるなつかしさがあるのかもしれません。
色々な場面で人の気持ちを支えてくれる香りの魅力は、ますます注目されていくでしょう。

* * * * * *

「なつかしい」香り。
季節、食べ物、肌のぬくもり…
私たちが幼い頃に辿ってきた経験は、香りとともに甦ってくることが多いのに気づくでしょう。

あなたにとってのなつかしい香りは、どんな香りですか?

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