• 2009-11-29 23:32:06
  • シアワセを味わうお菓子の世界 –ほっこり葛湯 編-
12月も間近に迫った今日この頃…
この季節は空気が乾燥し、手足も冷たくなりがち。
なんとなく体調をこわしそうな日が続いていませんか。
そんな日は、ほっこり葛湯(くずゆ)はいかがですか?

葛湯とは、葛を使った飲み物。
砂糖やハチミツなどを添えて、お湯で溶かしていただきます。
とろんとして、じんわりとあたたかい。
冬に食べると、寒さを忘れるようです。

葛湯の原料である葛粉は、風邪のひきはじめに効く葛根湯と同じ原料。
お菓子である葛湯は風邪薬ではありませんが、美味しいものはじんわりと心に効いていくようです。

* * * * * *

■ 葛とは
葛(くず)はマメ科の植物で、山々や野に群生しています。
根からは葛粉(くずこ)が採れ、和菓子の材料になります。

スーパーなどで見かける葛は、さつま芋などのでんぷんを主な原料としていることが多く、こちらは並葛といいます。
葛根から取れるでんぷんを100%使ったものを、本葛といいます。
食べればふくらみを持ったほのかな甘さがあるのが特徴です。

葛は昔から体を温め、ひき始めの風邪に効く健康食品として注目されてきました。
その他にも発汗、解熱、緊張を和らげ、女性ホルモンに似たイソフラボンが骨粗しょう症や更年期障害などに効くと言われています。
歴史を遡ると、なんと縄文時代からその効果が知られていたようです。
また、水戸黄門こと、水戸光圀監修で作られた「救民妙薬」という本に紹介されています。

■ 手間暇かけた葛作り
世界遺産である、奈良県吉野。
もともと、葛という名前も奈良県南部吉野郡の国栖(くず)という地名から出来たもの。
そこで作られる葛は、吉野本葛と呼ばれ、最高級品として知られています。

本物の葛には、気の遠くなるような、職人たちの根気のいる作業が注ぎ込まれています。

作業の最盛期を迎えるのは冬場。
吉野山の冷え込みは厳しく、身を切るような寒さに耐えながらの作業が行われます。

凍てつく冬の寒さの中、良質の澱粉を取るために人がやっと歩ける位の山奥に入り、地中深く生えている根を掘り起こします。
次に、葛からとった根を叩き、寒水に晒してゴミや灰汁を流します。
これを褐色の葛が真っ白になるまで幾度も洗い直します。
そして一ヶ月以上も自然乾燥をさせるのです。

採った量に対して、葛粉になるのはごく僅かです。
1kgの葛根から最終製品としてできあがる葛粉は、およそ100gのみ。
でも、当地の冬の地下水で葛を精製する工程(吉野晒し)を経て出来上がった本物の吉野本葛は、工程中に雑菌の繁殖などがなく安定した良質な葛粉になります。
それは白い金とも言われるほど!

現在では根を掘る人も、良質の葛根が掘れる山も少なくなってきています。
そのため江戸時代では澱粉の主流であった葛粉も、今では高価なものとして扱われています。

吉野ならではの冬の厳しい気候や冷たい水、伝統の技で作るからこその吉野本葛。
葛をいただけることに感謝したいものです。

■冬を楽しむ葛
葛湯は冬にぴったりの飲み物。
昔から人々に愛され、紀貫之など多くの文人・俳歌人に歌われてきました。
今でも俳句の中には12月の季語として「葛湯」があります。

一握の雪を溶かして葛湯かな       長谷川 櫂
葛湯掻く母の手元を見る夜かな      八木 美津江
あはあはと吹けば片寄る葛湯かな     大野 林火 

うすめても花の匂の葛湯かな       渡辺 水巴 

夕空の美しかりし葛湯かな        上田 五千石

柔らかいぬくもり、じんわりとした優しさ、ほんのりとした芳香、ゆっくりとした時間の流れ…葛湯のまろやかなとろみや風味が、私たちを何とも言えないあたたかな想像の世界に連れて行ってくれるのでしょう。
どれも外が寒い季節だからこそ、実感できるひとつのシアワセの形なのかもしれませんね。

* * * * * *

寒い夜にほっこり葛湯はいかがですか?

葛湯.png

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