• 2009-10-26 10:56:15
  • コーヒー文化の歩き方 –嗜好品を語る 編–
コーヒー文化を歩いてみると、そこには嗜好品、というキーワードが横たわっています。
今回は、ちょっと立ち止まって「嗜好品」を見ていきたいと思います。

* * * * * *

■ 嗜好品って?
嗜好品とは何でしょう?
嗜好品にはコーヒーを始め、酒やたばこ、お茶などが含まれます。

栄養のために口にするわけではないもの。
でも、ないと、寂しいもの。
あると、ほっとするもの。
英語では、「好み」「お気に入り」「贅沢品」などが訳語ですが、
私たちにとってはちょっと物足りない意味だと思いませんか?

嗜好品とは、私たちにとっては豊かな含みを持った言葉。
それでは「嗜好品」を初めて語った偉大な文豪に聞いてみることにしましょう。

■「嗜好品」の生みの親 森鴎外
嗜好品ということばが初めて出てきたのは
森鴎外の短編小説「藤棚」の中です。

薬は勿論の事、人生に必要な嗜好品に毒になることのある物は幾らもある。
世間の恐怖はどうかするとその毒になることのある物を、根本から無くしてしまはうとして、必要な物までを遠ざけようとするやうになる。
要求が過大になる。
出来ない相談になる。


鴎外が活躍していたのは明治〜大正時代。
当時、世界は急速な近代化と都市化に直面していました。
これまでと全く違った新しい社会ができつつあったのです。
人々は緊張を強いられる毎日を過ごしていたはずです。
そんな時代が酒やたばこ、コーヒーやお茶など、私たちの心をほっとさせてくれる飲食物を求めていたのです。
それをいち早く反応し、鴎外は「嗜好品」という造語でまとめあげたのです。

■鴎外の嗜好品観
鴎外が言う、嗜好品はこんな意味を持っています。

緊張を緩めて、人を和ませ、コミュニケーションの手助けをしてくれるもの。
人と人との関係をスムーズにしてくれるもの。

さらには、小説家としての鴎外にとっては、創造力の源にもなっていたかもしれません。

現代風に言ってみれば、嗜好品とは心の豊かさと創造力を与えてくれる、心のサプリメント、でしょうか?

英語にぴったり当てはまる言葉がなく、今ではそのままshikohinと呼ばれることもあるのは、そこには心の豊かさや創造力の源という意味が抜けているからです。
でも、英語圏に限らず、世界各地で酒やたばこ、コーヒーやお茶などが好まれ続けているのも事実。
人間らしい生活をするためにはやっぱり必要なものだということを意味しています。
嗜好品は私たちが意識するかしないかに関わらず、変わらず必要なもの、とも言えるでしょう。

嗜好品は、豊かな心や創造力を取り戻す手助けをしてくれるもの。
そして、嗜好品そのものも強い人の想いによってできています。
実は、伝統と卓越したわざによって作られた本物のコーヒーは、「嗜好品」よりもう少し深い願いや愛情などが込められています。

* * * * * *

それでは、コーヒーはどんなふうに作られるのでしょうか?
次回は、コーヒーが作られる過程について、もう少し歩いていきたいと思います!

書籍とコーヒー.png

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