• 2009-10-10 23:45:50
  • コーヒー文化の歩き方 –シドニー・名前の由来 編–
一杯のコーヒーがもたらす特別な時間。
味わいだけでなく、コーヒーは生活の様々な場面で特別な意味を持っています。
会話を楽しむために。時間をつなぐために。物思いにふけるために。ほっとしたひとときを味わうために。
コーヒーにまつわる文化はどのように育まれ、大切にされてきたのでしょうか。
今回は「コーヒー文化の歩き方」と題して、コーヒーと私たちの深い関係について探っていきたいと思います。

* * * * * *

まずは、ちょっと変わったコーヒーの名前について、先週に引き続きシドニーからレポートします!

■ オーストラリアのコーヒーショップ
オーストラリアでも、都心部では至るところにコーヒーショップが立ち並んでいます。
オープンカフェスタイルのコーヒーショップも多く、パラソルの下でコーヒータイムを楽しむ人々もよく見かけます。
カフェ.png

様々な文化を背景に持っている国のため、店ごとにコーヒーのメニューに特徴があります。本格的なコーヒーならイタリア系のお店、気軽に立ち寄るなら日本でもお馴染みのコーヒーショップに行ってみるといいでしょう。
その際に小さな発見をするのが、コーヒーの名前の違い。
個人経営のお店から世界規模のコーヒーショップまでオーストラリアでのコーヒーの呼び名はちょっと特別です。

たとえば、
エスプレッソは「ショート ブラック(Short Black)」
いわゆるアメリカンコーヒーは「ロング ブラック(Long Black)」
ミルク入りのコーヒーは「フラット ホワイト(Flat White)」と呼びます。
オーストラリアでコーヒーを注文する際にはご注意を!
コーヒー.png

■ 味わいの比喩表現
コーヒーの独特な名前。
なぜこのように呼ばれるのでしょうか?

ショート ブラックは小さいサイズ、ロング ブラックはそれよりも大きいサイズで提供されるから、という一説もあります。
でも、それぞれS、M、Lサイズを選べる店もあるのです。
(つまり、ショート ブラックのラージサイズや、ロング ブラックのスモールサイズもあるわけです)

ということは、見た目の関係で
“短い(short)”=“小さい(small)”
“長い(long)” =“大きい(large)”
というわけではないようです。

ところで、コーヒーの味を表現するときには、「濃い」、「薄い」を使うのが普通ですが、英語では「強い(strong)」、「弱い(weak)」を使います。
また、日本でも特に出汁の味が薄いことを“遠い”と表現することもありますよね。

コーヒーの呼び名には他にも理由があるのかもしれませんが、ひとつには味わいの比喩表現が影響しているとも考えられます。
“濃い”、“強い”、“短い”、“近い”
“薄い”、“弱い”、“長い”、“遠い”
これらは、何らかの共通点を持っている概念がお互いに関連を持ち、新たな比喩として成立していることを示しています。

また、「フラット ホワイト」は、見た目から来ている名前だと考えられます。たっぷりのミルクが入り、きめ細かな泡が平ら(flat)に表面を覆っている様子を表しているのでしょう。

■ 名前の由来はエピソードからも
コーヒーに欠かせないのが、ケーキやクッキーなどのデザート。
大きく切り分けられたケーキにホイッププリームやシロップ、キャラメルソースなどをかけて、思いっきり甘くして食べるのがオーストラリア風です。
チーズケーキ.png

オーストラリアで有名なのが、「マッドケーキ(Mud Cake)」と呼ばれる、コクのあるチョコレートケーキや「パブロバ(Pavlova)」というメレンゲやフルーツでできているふんわりしたケーキがあります。
Mudとは、“泥”という意味。
色や、粘りのあるチョコレートの質感が“泥”のように色も濃く、粘り気があってずっしりしているということを表現したのだと思われます。
Pavlovaとは、1926年にオーストラリアを訪れたロシアのバレリーナの名前にちなんでいます。
軽やかで優美でふんわりとした姿がケーキの白さやメレンゲの軽さとして表現されています。
ケーキ.png

名前は、便宜上付けられた記号的な存在に過ぎないときと、意味や語感などが密接につながりを持ち、私たちの概念や感覚に訴えかけるときがあります。
私たちが愛着を持ち、多くの人が共感するのは、後者のような名前。
名前という一側面もまた、私たちとコーヒーとの身近で欠かせない関係を表しています。

* * * * * *

私たちの生活に“近く”、“濃い”存在でもあるコーヒー、そしてコーヒーを飲むというスタイル、過ごす時間、場所、場面、気分…。

コーヒーにまつわることばを見てみると、わかってくることがたくさんあります。
次回から、コーヒー文化についてさらに歩いていきたいと思います!

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