• 2009-08-09 09:36:18
  • 身近な地域性 —湯布院・温泉絞り体験 編—
大分県の湯布院駅からほど近くに、民芸品を扱った施設があります。
そこで観光客が気軽に体験できるのが温泉絞り。
豊後絞りは大分県で小規模で行われている以外まだまだ目にすることが少ないので、豊後絞りの仲間の温泉絞りを体験についてのお話です。
今回は「青は藍より出て藍より青し」を、五感で味わってきた様子をレポートします。

* * * * * *

■まずは体験!
温泉絞りは藍染めと湯布院の温泉を使った染色技法です。

甕の中で醗酵した染料には、「藍の華」と呼ばれる紫色の泡ができていました。
蓋を空けると、発酵した染料の匂いがふんわり立ち上がってきます。
かめ.jpg

藍の色は水に溶けないので、草木染めのように煮出しができず、醗酵させることで水溶性に変わって染色ができます。
この甕の中に布を入れて、しばらくしてから取り出すと、空気中で酸化が起こります。
これが藍の色となるわけです。

真っ白な木綿の布を折りたたんだり、ゴムで簡単に括ったりしてから、それを甕の中につけ込みます。
甕から出した直後の布(右)はこんな感じ。
最初は藍色ではなくて、緑色をしています。
みどりいろ.jpg

しばらく空気に布を触れさせていると、段々と色が変わってきます。
濃い色にしたいときは、何度かこの作業を繰り返します。
そめ.jpg

ちょうど良い頃合いを見て、甕につけ込む作業をやめて布を洗います。
普通は水洗いですが、温泉を利用して洗うのが湯布院ならでは。
お湯の温かさが肌に優しく伝わってきます。
あらい.jpg

布を広げると…こんな感じ。
ゴムで括った跡が円状の模様になりました。
できあがり1.jpg

指でしっかり押さえて染料が布にしみ込まないようにすると…4枚の花びら模様ができました。
できあがり2.jpg

染料につけ込む時間、その日の気温、湿度、藍の調子、素材などで染め上がり方はいつも違ってきます。
さらに、そのときのたたみ方、括り方、求める色も千差万別。
(偶然でも)できたものが、世界でたった一つの作品になるのです。
できあがり3.jpg

最終的に、完成品は乾かすと濡れているときよりも薄い色になりました。
あっという間の40分。
出来上がりまで、発見と感動の連続でした。
さらに、水洗いを何度か重ね、使い込んでいくと時とともに生地と色が馴染んでいくのです。
かんせい.jpg

■「そのとき」は生もの…だから
温泉絞りで大切なのはイメージをすること。
たとえば、出来上がりの色の様子。
模様の様子。
それを使う人が喜ぶ様子。
どんなふうにすれば思い通りのものができるのか、それは感性と経験をじっくりと磨いていかなければいけないのでしょう。
それに、偶然できた結果を受け入れて、自分の歓びとしていくことはとても長い年月がかかるもの。
その一歩を踏み出すのは、五感を通して実感する自分の経験です。
まずは目の前で繰り広げられる本物の素晴らしさに触れてみたいものです。

* * * * * *

「草木染めのように煮ないから、藍は生ものなのよ」という施設の方のことばが心に響きます。
「生もの」は一つとして同じものにならない、デリケートで儚いもの。
でも、だからこそ「そのとき」を体験できることのつながりやご縁が、不思議なくらい尊く感じられるのではないでしょうか。
そういう経験の先にはきっと、生活をわくわくさせるような新たな価値を持った世界が待っているはず。
そんなことを実感した、湯布院での温泉絞り体験でした。


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