• 2009-06-14 09:30:51
  • ご当地のおもてなし
その旅館は、街の賑やかさからは離れたところにあります。
農作物の栽培が盛んで漁港も近い土地で,いわゆる都市の活気とは違う、「田舎」の風景の中にあります。
今回のブログは、心地よい田舎のご当地のおもてなしについてのレポートです。

* * * * * *

車が通れるか通れないかというくらいの細い道を抜けると、建物昭和元年創業の落ち着いたたたずまいが姿を見せます。
そこは伝統と格式というよりかは、ほっとできる家のような空間。
初めてなのに、ただいまと言いたくなるような懐かしさがあります。
黒電話、洗面台、箪笥、振り子時計…昭和初期の調度品と現代のインテリアがうまく組み合わされた場所は、頭の中の「田舎」を壊さずに具現化しているような空間でした。

館内には至る所に「田舎」を強調した案内があります。
“田舎で何もありませんが。どうぞごゆっくりおくつろぎください”
そこから。田舎だからこそできるくつろぎを思い切り楽しんでもらおうというようなメッセージが伝わってきます。

板張りの館内には、スリッパは用意されていません。
裸足になって木のぬくもりをお楽しみください、ということでした。

きれいな地下水を使ったお風呂は、足湯、家族風呂、大浴場と色々あってお風呂めぐりをするのも楽しみです。

地元で獲れる食材や地酒、オリジナルのお菓子、夜食のお届けもの。
地元の食材をふんだんに取り入れた、手作りでここでしか味わえないものばかりです。

部屋を出て、館内でくつろぎたくなるような配慮も随所に施されています。
玄関にほど近いラウンジ、湯上がり後の休憩場、そして大きな縁側。
ここには足湯や無料の飲み物サービスがあるので、自然と人が集ってきます。
たとえ部屋にいても、そうした内と外のつながりは、館内の音、人の声、太陽の光の変化、お料理の香りなどを通して、障子越しに感じることができます。
穏やかな陽気の下、のんびりした時間を宿泊者たちが共有するというのは不思議な心地良さです。
時間がゆっくり流れるのを楽しむことは、「田舎」が与えてくれる、とても贅沢な過ごし方だと実感します。

館内には看板猫がうろうろ。
この季節,日中は大輪の紫陽花が咲いています。
夜には館内の中庭にゲンジボタルが飛び交います。
建物にも、お風呂にも、お料理にも、猫に至るまで、それぞれのストーリーを持っています。
実は、その旅館はある映画の撮影現場にもなったのだとか。

ここでは、こうした理想的な田舎の良さを活かし切っていることが印象的でした。
それは、何もない、虫が多いという文句を、くつろげる、ほっとする、虫や自然の宝庫という魅力に変えてしまうという力を持っていました。
やがて様々なおもてなしの心に気づき、田舎ならではの楽しみ方を味わうことができるのでしょう。
ご当地のおもてなしの魅力は、きっと個性的なストーリーの数々に巡り会えること。
私たちの理想的な田舎のイメージを具現化しつつ、一人一人のペースに合わせたサービスを施してくれたり、小さなお土産を渡してくれたり….
どれもオリジナルでマニュアル通りではないおもてなしが私たちの心を温めるのでしょう。
自分とその空間をつなぐ関係性が、たくさんの独自のストーリーによって強く結びつくほど、ご当地ならではの心地よい感動が生まれるのかもしれません。

また、ただいま、と帰りたくなるような、温かな気持ちをお土産にもらったようなご当地の体験でした。

2階.jpg

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