• 2009-02-22 00:49:11
  • 触って感じる雛祭り
もうすぐ3月3日の雛祭りです。
桃の節供ともいわれる雛祭りは、男雛女雛を中心として様々な人形や道具を飾って、家ごとに女の子の成長と幸せを祈って行われる年中行事のひとつです。

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雛祭りは、かつては奈良時代に人形(ひとがた)を作って、人形で身体をなでてけがれを拭い、その人形を川や海へ流して身を清めるという神道の行事でした。
平安時代になると、平安貴族の女子の間では「ひいな遊び」というものが行われていました。
ひいなとは人形のことで、小さくてかわいいものという意味がありますが、男女一対の小さな紙人形を作り、調度品も揃えて、ちょうど今の「ままごと遊び」のようなものをしていたようです。
やがて「ひいな」から「ひな」へ呼び名が変わっていき、平安貴族の人形遊びとしての雛人形が生まれました。
室町後期になると、雛人形は川へ流さずに、家でまつられて女の子の祈願や愛玩用、鑑賞するものになっていき、また贈答の品として立派なものが作られるようになりました。
江戸時代になると、雛人形は庶民層にも広がっていきました。

このように、はじめは素朴な人形だったものが、豪華で精巧な人形や道具に変わっていき、時代とともに雛人形は子どもの「ままごと遊び」から、むしろ大人たちの観賞用に移ってきたことがわかるかと思います。

細工の施された雛人形は、たしかに非常にデリケートです。
大きな衝撃や湿気、乾燥、ホコリやチリなどに弱く、それらによって起こる型くずれや、変色や変質、衣装のカビ、日焼け、退色などに気をつけなければなりません。
特に、脂が人形につくとシミが出来やすくなるので、素手で直接人形の顔に触るのは御法度。
人形の出し入れには薄手の手袋をはめるくらい、丁寧に扱わなければいけません。

でも雛人形に触ることを怖がらないでくださいね。
触れることは豊かな心を育むことと関係があるからです。

雛人形を触れた瞬間、ふわふわ、すべすべ、ふにゃふにゃ…こんな触り心地を感じるでしょう。
まるで人が衣装を実際に着たミニチュア版という感覚です。
上等な絹は柔らかく、美しい曲線を生み出し、優雅な形を表現します。
そうした素材に加えて、手間暇かけて一枚一枚丁寧に縫い上げ、着せつけている職人の優れた技術を、両手で感じる絶好の機会ではないでしょうか。

また、肌触りのよい毛布や動物の毛のように、柔らかいものには愛着が湧いたりほっとしたりすることがありますよね。
雛人形には日頃の不安やストレスから救ってくれる癒し効果があると考えられます。

忙しい現代人のライフスタイルに合わせて最近は楽に収納できるようなセットものの雛人形も見かけますが、自分の手を清めた後に、繊細な人形や道具を傷つけないようにひとつひとつを丁寧に扱うことは、物を大切にする心を育むことにもなります。
雛人形を飾ったりしまったりすることを親子で一緒に味わえば、そうしたマナーを自然な形で伝えることができます。

雛人形は「生まれてきてくれてありがとう」の気持ちと、春が訪れる喜びを重ね合わせて表現する、深い愛情に満ちたお祝いの日です。
限られた期間の中で手間を惜しまずに雛祭りの準備をすることを通して、家族や親近者に感謝する気持ちの大きさを改めて確認することもできるでしょう。

さらに、そうした過程の中で私たちが守り受け継いできた慣習、美的感覚、美徳、絆というような文化が次の時代に渡されていくのではないでしょうか。

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もともとそうであったように、雛人形は実際に触れて災厄を移すもの。
人形を壊したり、汚したりすることがあっても、それは災厄を雛人形が身代わりになってくれたと考えますので、心を込めて触れることを楽しんでみてはいかがでしょうか。


ご家族みなさんで飾り付けたり、お祝いをしたりして、温かな雛祭りを過ごしてみてください。


おひなさま.JPG

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