• 2008-11-25 22:06:33
  • 味覚と味と味わい
果物の「味」、「味覚」の秋、料理の「味わい」。
食べることは、毎日の欠かせない行動です。
そうした中で私たちは、味覚や味や味わいということばを普段何気なく使っています。
それぞれのことばの意味合いが持つ、微妙なニュアンスの違いを使い分けていることもあるように、味覚や味や味わいというものは似ているようで異なるものです。
今回は、そうした味覚と味と味わいについてのお話です。


味覚というのは、化学物質を刺激とする感覚のことをいいます。
他の感覚(視覚・聴覚・触覚など)と同じように、外界からの刺激が受容器で電気信号に変換され、その信号が脳の感覚野において処理されることによって生じる感覚です。
味覚の主な目的は、食物の探索や摂取行動において私たちにとって有益なものを取り込んで、害になるものを避けるための選別作用といわれています。

味というのは、味覚や他の感覚とともに経験する感覚のことをいいます。私たちは、味覚をそれ単独で経験することは少なく、普段「○○の味」というときには嗅覚と味覚の複合感覚である風味などとして実感することが多いといわれています。
たとえば、風邪などをひいたりして鼻の調子がおかしくなってしまうことがあるかと思います。
そんなときは、何を食べてもあまり「味」を感じないですね。嗅覚が味に大きな役割を果たしているからです。
また、唐辛子の辛みやコショウのピリピリ感は、厳密な意味での味覚ではなくて、刺激という体性感覚です。
この他の体性感覚として温度や刺激感、食物の硬さや粘り気、食物の形などもあげられます。
このように、味は様々な感覚を使って食と関わるという経験のことを指します。

それでは、味わいとは何でしょうか。
味わいの「わい」は、主観が入っていることばで、じっくりとか、一面すべてにという意味も隠されています。
味わいとは、飲食物を口に入れて、そのおいしさなどを十分に感じとったり、味を楽しんだりすることを指します。
たとえば、スーパーで買って来たおかずを、そのままテーブルに出すのと、器にきれいに盛りつけて出すのとは「味」は同じかもしれませんが、食事をするときの気持ちが何となく違うのではないでしょうか。
味わいとは、料理の盛りつけかた、器、他の飲食物との組み合わせや、照明、インテリア、音楽などの音、その場の雰囲気、時間帯、値段、食事をする人の体調、動機、目的、人間関係など、その食を取り巻く世界の中で、情動(快・不快など)を伴いながら総合的に評価されるものだと考えられます。
さらに「味わい」は比喩的に、物事のおもしろみや含意を考えて、感じとることを指すこともあります。人生で様々な体験をすることを味わうともいいます。私たちは、想像力を使って「味」のないものまで「味わう」ことができる、おトクな生き物なのかもしれません。
味覚と味と味わい。それぞれの役割をきちんと知っておくことは、人生の味わいをもっと豊かにするのかもしれませんね。

味わい.JPG

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