• 2008-10-24 19:26:10
  • 街の色彩と看板〜その街らしさは何色か?〜
どこへ行くにも気持ちの良い季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
こんなときには少し遠出をして、心身をリフレッシュさせたいものですね。

岐阜県にある、今年の春にオープンした複合商業施設に行ってきました。
その施設は東名高速道路沿いにあり、地域の特産物や工芸品、料理などを提供する様々な店舗が集まっていました。
週末ということもあって、その日も買い物や食事を楽しむ多くの人でとても賑わっていました。

よくあるようなサービスエリアと違うのは、北欧の建築をお手本に掲げ、その地域のライフスタイルや価値観をも含めたデザインを目指したという施設だというところです。
大胆なほど明るい黄や青やピンクの壁面や、白く太い窓枠などは、もしそこが別の場所であったら強烈に感じるのかもしれません。
でも、もともとその土地が持っている空の色、土の色、森の色、それに何とも言えない場所の雰囲気といった「風土」にうまくとけ込みながら、同時に商業施設としての存在感も併せ持っている魅力がありました。
その新しい施設は決して大きくはありませんが、周辺の環境などを綿密に調査し、色彩計画の検討を重ねて、その場所に調和するように設計されており、独自の「街らしさ」について十分に配慮された建築物のようでした。

正面.jpg


建物.jpg

しかし、現状はもっと複雑な事情をはらんでいました。
厳密な色彩設計をもとにデザインされたこの建物が、そこで活動をする人々の独自の創意と工夫によって、始めに意図された全体的な調和とは違う方向へ行ってしまっているからです。
施設の周辺にのぼりや大きな看板などが立ち並び、遠くからでもその乱立が目に飛び込んできます。
そうした変化の結果、総合的に、言ってみれば「地方の土産物屋」というコードが出来上がりつつありました。

テント.jpg


のぼり2.jpg


のぼり.jpg

のぼりや看板などの情報としての色彩は、差別化・個性化などを作り出し、経済活動の活性化を支えますが、一方的で過度な情報発信によって時に無秩序な色彩の混乱状況を派生させます。
バスや建築物で問題とされる「騒色」という被害があります。
それは周辺環境との調和を著しく乱すだけでなく、人々に不安や不快感を与えるような色彩に関する公害であり、広告もまた、そうした騒色に当てはまります。
ただ、騒色には法的規制はなく、各都道府県や市町村などによる野外広告物の色彩そのものに言及した条例もあまりないのが実情です。

今回のケースでは、騒色だと感じるのは個人差の範疇で、全ての人にとって極めて深刻な問題であるとは言えないかもしれません。また生活者の事情や権利なども重なり、公共性や環境の観点のみから広告の色彩を決めつけることはできないでしょう。
しかし、そうしたものを含めた全体的な景観が「街らしさ」を作り上げることを、その場所に関わる人々が理解していく必要がありそうです。

では、その建築物の目的と意図を皆が理解し、価値観の足並みを揃えて、街を作っていくにはどうしたらいいのでしょうか?

一つには作り手側の責任として、そのコンセプトや目指す世界観を、様々な方法でわかりやすく伝えることがあります。例えば、イメージ図や絵だけでなく、詩や歌など言葉によって思いを託すことが大切です。
また、直接にその周辺の人々とコミュニケーションをとっていくことも重要です。
作り手が思い描いているコンセプトや目指す世界観は、長期的なスパンの中で少しずつ実現される人々のライフスタイルそのものです。
今回のケースはほんの一例だと思われますが、建築物を取り巻く全体的な構想・設計と、地域の活性化、そして場所の力に配慮して、人と技術と環境が調和した、人に愛されるそれぞれの街が実現されることを願っています。




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